志賀高原2連戦の第2戦目は、素晴らしい晴天の下で行われ、カーレ・パランダー(FIN)とラインフリート・ヘルプスト(AUT)が同タイム優勝となった。なお、ヘルプストはこれがワールドカップ初勝利だ。
また、このレースでベンジャミン・ライヒ(AUT)が4位に入賞したことで、今シーズンのワールドカップ総合優勝はライヒのものとなった。ライヒは初の総合優勝となる。
なお日本勢は、佐々木明(ガーラ湯沢)は6位、皆川賢太郎(アルビレックス新潟)は7位、湯浅直樹(北海道東海大)は18位だった。
■□ JAPAN史上最強コンビ、夢は最終戦へ □■
この2日間、会場に足を運んだ人は、最高にこのイベントを楽しめたはずだ。第1戦は1本目から佐々木、皆川が沸かしに沸かし、レースの最後まで「佐々木明優勝」の可能性を残す、盛り上がりには最高のレース展開だった。
第2戦も、終始興奮できる内容だった。1本目、皆川・佐々木ともに十分な滑りではなかったものの、皆川10位、佐々木7位と好位置につけ、加えて湯浅も2本目に残るエキサイティングな展開となった。
2本目、2番目に登場した湯浅は、圧倒的なタイム差でトップタイムのままゴールし、大きな興奮を観客にプレゼント。そして21番目に登場した皆川も、途中でタイムロスしながらも、最後に素晴らしい追い上げを見せてトップタイムでゴール。派手なガッツポーズと共に、大いに観客を沸かせたのだった。さらに24番目に佐々木がスタートする前まで、皆川はトップタイムを守り、佐々木が皆川を上回るタイムでゴールしたときは、「夢のワンツーフィニッシュ」という可能性さえ予感するほど、エキサイティングな展開になった。
結局、思ったよりもコースが荒れなかったので、その後に続いたレーサーが、さらに彼らを上回ることとなり、最終的に6位、7位のポジションまで押し上げられてしまったが、それでも2人がヒトケタ順位に続くというシーンを、果たして1年前に想定できただろうか。
このレースのフラワーセレモニーに立った10人を見ると、まさに世界のトップスラローマーと呼ぶに相応しい顔ぶれだった。「03W杯SLチャンプ」パランダー、「06五輪銀」ヘルプスト、「今季総合優勝」ライヒ、「5連勝男」ジョルジョ・ロッカ、「弾丸スラローマー」テッド・リゲティなど、まさにスター揃い踏みである。
加えるなら、「衝撃のスラローマー」マリオ・マット(AUT)、「前回大会の優勝者」ライナー・シェンフェルダー(AUT)、「志賀高原男」ピエリック・ブルジェ(FRA)、「心優しきチャンピオン」イヴィツァ・コスタリッチ(CRO)などの名手たちは、2人の遥か後塵を拝しているのである。
表彰台では、佐々木・皆川両者とも笑顔を見せていたが、その笑顔に真の喜びはなかった。例えば、ヘルプストの初優勝を目の当たりにして、皆川・佐々木とも心穏やかにいられるはずがない。決して勝てない相手ではないことは、2人がもっとも理解しているはずだ。
優勝への準備は完全に整った。あとは、どっちが先にいつ獲るか。そこだけに注目は集まりつつある。
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