3月18日、スイス・レッツェンハイデで男子スラローム第10戦(最終戦)が行なわれ、ベンジャミン・ライヒ(AUT)が優勝。逆転で種目別優勝を獲得したものの、総合優勝はわずかにアクセル・ルンド・スヴィンダルに及ばず、2年連続のチャンピオンはならなかった。
2006/2007シーズンのワールドカップ最後のレースとなるこのスラロームの注目ポイントは、熾烈を極めている総合優勝の行方である。ライヒが優勝してスヴィンダルがノーポイントなら、逆転でライヒという展開。スラロームでの力関係を考えれば、決して不可能な数字ではない。とくに最終戦は15位までしかポイントは入らないので、15位以下にスヴィンダルが落ちることは十分に考えられる。
そしてレースはまさに、そのとおりの展開となった。ライヒは1本目から飛ばしに飛ばし、1、2本ともラップで圧倒的なタイム差で優勝。一方のスヴィンダルは、1本目12位と、15位以内という場所には際どいポジション。2本目はさらに遅れ、ポジションを落としたが、まさにギリギリの15位に引っかかり、ポイント差わずか11ポイントで、辛うじてスヴィンダルが逃げ切った。
アクセス・ルンド・スヴィンダル、ノルウェーが生んだスーパーオールラウンダーのチェティル・アンドレ・オーモットやラッセ・チュースの後継選手として注目される純粋なオールラウンダーだ。昨シーズンから一気にその才能を開花させた。現在24歳と、年齢的にもまだまだ、これからの選手である。
大回転から滑降までを得意種目とし優勝する力を有している。加えて、スラロームでも第1シードに入る、まさに純粋なるオールラウンダーだ。
かつて黄金期にあったノルウェーだが、アトレ・スコーダル、オーレ・クリスチャン・フルセト、フィン・クリスチャン・ヤーゲ、トム・スチャンセン、そしてオーモットとチュースというカリスマが去っていき、今ではワールドカップで十分に戦える選手はほとんど残っていない。しばらくは、スヴィンダルは孤独な戦いを強いられることになるが、彼を中心にノルウェーチームが再び輝く日が戻ることを期待したい。
日本の佐々木明(グローバル)は1本目、スタートして3旗門でコースアウト。最後までエンジンのかからないままで今シーズンを終えた。
なお、スラロームの種目別は、1位ライヒ、2位マリオ・マット(AUT)、3位イエンス・ビグマルク(SWE)という結果だった。
また、総合優勝は、1位スヴィンダル、2位ライヒ、そして3位ディディエ・キュシュ(SUI)という順だった。
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